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2023年3月 7日 (火)

銀河戦記/鳴動編 第二部 第十一章 帝国内乱 Ⅰ

第十一章 帝国内乱

 ウェセックス公国のロベスピエール公爵率いる摂政派の貴族たちが反乱の狼煙を上げた!

 衝撃的なニュースが飛び込んできた。
 顔を見合わせるマーガレット皇女とジュリエッタ皇女だった。
 以前からきな臭い情勢だったのだが、共和国同盟内の反乱鎮圧に、アレクサンダー皇太子と両皇女が留守にしている間に、これを機会にと決起したのであろう。
「ハロルド侯爵は?」
「無事です」
 マーガレットが答える。
 ハロルド侯爵はアルビエール侯国領主であり、アレックスとマーガレットの叔父にあたる人物である。
「自治領艦隊百万隻と第二・第三の駐留艦隊総勢百五十万隻が守っています」
「うむ。摂政派も連邦もすぐには仕掛けてこれないな」
「しかし帝国本星は摂政派が押さえてしまいました」
「サセックス侯国のエルバート侯爵は、従来通り中立を保っているようです」
「国境を接するバーナード星系連邦に対する守りの方が重要だからな。内戦には参加しないのも当然だろう」
 連邦に対する守りであることを、摂政派も皇太子派も十分承知しているので、自派に取り込もうとはしない。
「帝国へ戻るぞ」
「御意にございます」

『内憂外患状態なのに、皇太子は何しているのだ?』
 と、思われないためにも、一刻も早い帰国が必要だった。

 アレックスは、ウィンディーネ艦隊をディープス・ロイド准将に預けて、急遽帝国へと向かった。

 押っ取り刀で、アルビエール侯国に戻ると、ハロルド侯爵が笑顔で出迎えた。
「おお、無事でしたか。心配していましたぞ」
「ご心配おかけしました」

 アレクサンダー皇太子を迎えての晩餐会が始まった。
 交わされる会話はもちろん摂政派の動向である。

 ロベスピエール公爵は、ジョージ親王の皇太子擁立が皇室議会で決定されていたことを根拠に、息子を帝位に就けると同時に皇太子派の貴族たちを次々と拘禁しはじめた。
 配偶者であるエリザベス第一皇女が摂政を務めていただけに、内政については正常に回っているように見えた。
 改めてジョージ新皇帝の戴冠式を執り行い、神聖銀河帝国の樹立を宣言したのだった。

「神聖銀河帝国ねえ……分裂も止むなしと考えたのだろうな」
「認めれば、バーナード星系連邦との分裂以来三度目となります」
 かつてのソートガイヤー大公が専制君主国家アルデラーン公国を起こし、孫のソートガイヤー四世によって全銀河を統一して以来、最初の分裂がトリスタニア共和国同盟の独立だった。そして二度目、軍事国家バーナード星系連邦が分離独立を果たした。
 神聖銀河帝国は防衛面から考えれば、侵略国家である連邦に対して、エセックス侯国及びアルビエール侯国が防壁となる位置にある。
 摂政派は、連邦のことは考慮に入れなくてもよいと考えているようだ。
 連邦の侵略を防ぐためにも、エセックス侯国自治領艦隊は動かせない。
 よって、摂政派と対峙できるのは、アルビエール侯国自治領艦隊だけとなる。

 摂政派の軍勢は、第二・三・六皇女艦隊を除く全軍三百万隻ほど。
 皇太子派の軍勢は、皇女艦隊百四十万隻とアルビエール侯国艦隊百万隻、合わせて二百四十万隻ほどである。
「数は多くても戦闘の経験のない艦隊では、正直相手にならないかと」
「そうやって油断していると痛い目を見るぞ。一頭の羊に率いられた百頭の狼の群は、一頭の狼に率いられた百頭の羊の群に敗れる、という諺がある」
「ナポレオンですね。でも、摂政派軍に狼に匹敵するような指導者がいるかが疑問ですが……」
「隠れた逸材はどこにでもいるよ。ただ、それを見出し活用できるかが問題なのだ」
「ニールセン中将のように、たとえ有能でも自分の意にならない士官を最前線送りするようでは駄目ということですね」
 チャールズ・ニールセン中将は、共和国同盟軍統合参謀本部議長であって、上位の大将が空席だったために軍最高司令官となっていた。
 赤色超巨星べラケルス宙域決戦において、三百万隻の艦隊とともに消え去った。

「殿下、お見せ致したいものがあります」
 ジュリエッタ皇女が話しかけてきた。
「見せたい? 何かね?」
「艦隊駐留基地格納庫にお越し願えませんか? ご覧になって頂きたいものがあります」
「分かった」
 ジュリエッタに案内されて、格納庫へと訪れたアレックス。
 そこで目に飛び込んできたのは、
「ハイドライド型高速戦艦改造Ⅱ式六番艦です」
 見慣れた艦の雄姿だった。
「六番艦? 六番艦があったのか?」
「はい。廃艦が決まった折に、建造途中のこの艦を譲り受けたのです」
「五隻の他に、建造中か……」
「技術者にも来ていただいて、この艦を完成させました。この艦を、殿下に献上したくご案内した次第であります」
「この艦を私に?」
「ウィンディーネを失われた今、艦隊運用にも支障が出ておられましょう。その補充に最適かと」
「本当に良いのか?」
「もちろんでございます。この艦は相当なじゃじゃ馬だとお聞きします。殿下か配下の提督しか乗りこなせないでしょう」
「そうか……ありがたく頂戴しておくよ」




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