銀河戦記/機動戦艦ミネルバ 第五章 ターラント基地攻略戦 IX
ミネルバ艦橋。
「敵機来襲!」
「後方に揚陸母艦が見えます」
「何隻いるか?」
「三隻です」
「ヘリウム残量は?」
「残り12%です」
「超伝導磁気浮上システム維持できる時間は?」
「およそ56時間です」
「そうか……」
「やはり、ここへ来るときに、敵艦隊の足止めに放出したのが痛いですね」
「仕方がなかった。そうしなければ、ミネルバの運命もどうなっていたか」
「訓練部隊総員帰還しました」
「よし、ミネルバ浮上!」
砂塵を巻き上げて浮上するミネルバ。
「戦闘配備!」
艦内を駆け回って、それぞれの持ち場に急ぐ隊員達。
モビルスーツの格納庫では、出撃の準備が始まっている。
旧式機から昇降機を使って降りながら、整備員に大声で尋ねるサブリナ中尉。
「新型の整備状況はどうか?」
「液体ヘリウムの注入がまだ完了してません」
「何割注入した?」
「六割です」
「なら、二十分は飛べるな?」
「ええ、たぶん」
新型の諸元表によると、液体ヘリウム満タンで大気中を三十分飛べることになっている。
もちろん気温や気圧といった環境でも違ってくるが。
「ハイネはまだか?」
と叫ぶと、
「今行きます!」
待機所から、携帯食料のチューブを咥えながら出てきた。
「ちょっと小腹が空いたもんで」
言い訳していた。
「早く乗れ!」
「了解」
新型は複座式である。
パイロットの他、超伝導磁気浮上式システムを操作する機関士が必要なのだ。
「システム起動!」
「よし、出発する」
ノシノシと歩いて射出機に両足を乗せる。
前方の信号機が青になると同時に、
「サブリナ機、行きまーす!」
カタパルトによって前方空域へと飛び出した。
浮上システムによって、ふわりと空中に浮かぶサブリナ機。
「三時の方向に編隊多数!」
レーダー手でもあるハイネが報告する。
が早いか、戦闘機から発射されたミサイルが飛んでくる。
防御用の盾を前にかざして、それを防ぐと同時に、身近を通った戦闘機をバルカン砲で
なぎ倒す。
戦闘機の方も、素通りしてミネルバを急襲する。
「ミネルバなら大丈夫だ。こっちは敵母艦を叩く」
戦闘機には目もくれずに、敵母艦へ向かってゆく。
当然として、激しい弾幕攻撃を受ける。
しかし、それも難なくかわして、母艦に取り付くのに成功する。
背負っていたビームサーベルを手に取って、
「くらえっ!」
とばかりに、ビームサーベルを艦体に突き刺す。
ビームエネルギーが流れ込み、艦内のあちこちで爆発が起こり始める。
サブリナが離艦すると同時に、轟音と共に大爆発した。
「役目は終わった、帰還するぞ」
母艦が轟沈するのを見て、散り散りに逃げ去ってゆく戦闘機を見送りながら帰還するサ
ブリナだった。
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