アッと!ヴィーナス!!第二部 第二章 part-8
あっと! ヴィーナス!!第二部
第二章 part-8
アポロの居城。
すでに玉座についているアポロ。
その両脇には、弘美と愛が眠らされて椅子に座っている。
「さて、一応話を聞いてやろうか」
神子に酒を注がせながら余裕綽々の態度で応対する。
「おまえが拉致するのを命じられたのは、弘美だけだろう。なぜ愛も連れ去る?」
「ああ、黒服が間違えたのは謝るよ。その黒服は、ほれ、そこの石像になっている」
アポロが指差した先には、確かに黒服そっくりの顔つきをした石像が置かれていた。
「間違いを犯したと言うだけで、石像にするのか?」
ヴィーナスが追求する。
「心配するな。ほんの一時のことだ」
「神暦時間でだろ。人間の時間にして何百年だ?」
「人間の時間に直してどうなる。ここは天上界だ」
「長年、人間の運命管理していたから、人間時間が身についてしまったわ」
「なるほど……。ともかく一旦わたしの元に来た者は、何があろうともわたしのものだ」
「だがな、弘美はともかく愛は無関係だろ。ヘラ様はともかく、ゼウス様に知れれば懲戒
ものだぞ。解放してやれよ」
ディアナが忠告する。
「ゼウス様か……」
ふふんと鼻を鳴らすような態度で、
「そもそもファイルーZなどという可愛い女の子リストを作成するゼウス様に、わたしの
ことを責めるには及ぶまい」
と、相手にもしない雰囲気だ。
「ふぁああ!よく寝た……」
大きな欠伸と共に弘美が目覚めた。
「あれ?ここはどこだ?」
キョロキョロと辺りを見回す。
「弘美!」
「ヴィーナスじゃないか!ディアナもいるな」
まだ、現状を把握していない様子だった。
「ところで、隣のこいつは誰だ?」
アポロを指差して訊ねる。
が返答する前に、
「あれ?そのまた隣にいるのは、愛ちゃんじゃないか!」
椅子を立ち上がり、アポロの前を横切って、愛のところに駆け寄る。
「愛ちゃん!大丈夫?」
声を掛けるが返事は無い。
まだ眠っているのか?
「これは、どういうことだよ?」
ヴィーナスに向かって問いただす。
「それは、そこにいる人物に聞くんだな」
とアポロを指差すヴィーナス。
向き直り、
「おい、おまえは誰だ!?」
と訊ねる。

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