あっと!ヴィーナス!!第二章 part-7
あっと!ヴィーナス!!
第二章 part-7 「それから渡す物が二つあります。一つはこれ」 と一通の書類を母に渡した。 「これは戸籍謄本……。まあ!」 「どうした?」 「ほら、あなた。弘美ちゃんのところが『長女』になってるの」 「どれどれ……ほんとだ」 「俺にも見せてよ。うーん……性別を抹消訂正していないから、生まれついての女の子と いうことじゃないか」 「ほんとだ」 戸籍謄本を回し見して確認している家族達。 「口でいうよりも実物証拠を見せた方が理解しやすいと思って持ってきました」 「恐縮いたします」 「それともう一つは……」 というと紙包みを差し出した。 それを受け取って開けてみる母。 「まあ、これは! 弘美ちゃんの学校の女子制服じゃない」 「どれ、ほんとだ」 「明日からの通学のために用意しました。これがないと困ると思いまして」 「ありがとうございます。何もかも至れり尽せり感謝します」 「女神としては当然のことですよ。すべては弘美さんが何不自由なく女の子として生きて いけるようにしなくてはならないのですから」 「いい加減にしてよ!」 これまでじっと静観して弘美が叫んだ。 あまりにも傍若無人じゃないか。 じぶんの意思が完全に無視されている。 俺……あたしの人生どうなっちゃうの? ヴィーナスを交えての家族あげての祝杯は続いた。

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