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2019年4月19日 (金)

性転換倶楽部/特務捜査官レディー 作戦会議(R15+指定)

特務捜査官レディー(R15+指定) (響子そして/サイドストーリー)
(五十二)作戦会議  というわけで、敬を交えて早速打ち合わせに入ることにする。 1、生前公開遺言状の発表の日に磯部健児ほか関係親族を呼び寄せること。 2、同じく磯部響子も同席させること。 3、響子の護衛として、専属メイドとして真樹があたる。 4、敬は遺言状公開の立会人の一人として列席する。 5、当日において屋敷内で勤務するメイド達を全員女性警察官にすりかえる。 6、その他必要事項……。  響子さんにも事情を説明して、計画に加担してもらえれば完璧なのだろうが、素人 さんに役回りを押し付けるわけにはいかない。それに精神的負担から挙動不審となっ て、健児に勘ぐられる可能性も出る。  警察庁特務捜査課にも動いてもらうために、担当課長に報告する。 「ほう……。健児を罠に陥れようというわけか?」  警視庁生活安全部麻薬銃器取締課から、警察庁のこの新しい課の長に異動で収まっ た課長が頷く。  そうだね。  やはり馴染みの上司がいた方が上手くいくというものだ。 「健児のことですから、財産が全部響子さんに渡ると知らされれば、必ず動くはずで す。以前に響子さんの母親を陥れたように、今回も卑劣な手段を講じて、何とかして でもその財産をすべて奪い取ろうとするでしょう。そこに付け入る隙が生まれます」 「なるほどな……。しかし、上手くいくだろうか?」 「やってみなければ判らないでしょうが、何らかの行動に出るはずです。やってみる 価値はあります」 「響子さんに身の危険を与えるかもしれないぞ」 「もちろん、その手筈はちゃんと打っておきます」 「その一貫として、磯部氏宅のメイドを全員女性警官にすり替えることか?」 「はい。一般市民を巻き添えにする可能性を少しでも排除しておきます」 「だが、女性警官を危険を伴う現場に派遣することは出来ないんだが……。麻薬取締 官の真樹君は知らないかも知れないが、女性警察官は、駐禁取締や交通整理といった 交通課勤務と決まっているのだよ。つまり交通課の協力を取り付けなければいけない ということになるわけだ」  確かに、我が国においての警察は明治の昔から断固として男社会であり、元々男女 差が無かった教職とは大きく対照的にある。女性だから昇進できない、役職につけな いという人事がいまだに存在し、確固として女性警察官は男性警察官のサポート役に 過ぎないという考えが根強い。全国警察官中20%を占める女性警察官のうち刑事部門 の職務にあるものは極めて少なく男性刑事99%に対し1%程度である。しかし、女性 独自の特性を生かした職務も一部導入され、性犯罪・幼児虐待事件などへの刑事事件 への捜査に積極的に女性捜査員を就かせて捜査に当たらせようとの動きも出ており今 後の活躍が期待されている。警視庁としては捜査一課の内部に女性捜査員のみで構成 される女性捜査班なるものが存在し、強姦事件専従班として活躍している。  ……のだが、やはり何と言っても女性警察官といえば、交通課に尽きる。 「しかし、健児に不審を抱かせることなく磯部邸に張り込ませるには屋敷内勤務のメ イドに扮装するしかありません。男性職員といえば料理人や庭師がいますが、これは 厨房や庭園が職場で、屋敷内を動き回れません」 「そうだな。メイドなら部屋から部屋へと自由に行き来できるが……全員女性という ことになる」 「決断してください。必ず健児は動きます。公開遺言状の発表の日に、交通課女性警 察官を30名、屋敷にメイドとして配置させてください。さらにはもう一日、メイド としての作法を覚えてもらうために、訓練日を儲けさせて頂きます」 「判った。交通課には私から協力を願い出よう」 「ありがとうございます」  さすがに理解のある上司だった。  例の生活安全局長とは、雲泥の差だ。  まったく違う。  磯部氏に遺言状の公開を健児に伝えてもらい、屋敷内に潜入させる女性警察官の手 配も済んだ。  後は決行日を待つだけとなった。  決行日の朝。  目覚めたわたしは、身に引き締まる思いで、敬の運転する車で磯部邸へと向かった。 「ついに来るべき時がやってきたというわけね」  わたしと敬の身の回りに起こったすべての元凶。  麻薬取締りで磯部健児を追っていたあの頃から、一日として忘れたことはない。  磯部親子がその毒牙にかかって、母親は死亡し響子さんは殺人で少年刑務所へ。  それを追求しようとしたわたしと敬は、局長の策謀でニューヨークへ飛ばされて、 危うく命を奪われるところだった。  そして、組織によって瀕死の重傷を負った命を救うために黒沢医師によって、移植 手術が行われ女性へと性転換された。  日本に帰ってからは、生活安全局長の逮捕劇である。   「着いたぞ」  運転席の敬が言った。  磯部邸の車寄せに停車する。  玄関から幾人かのメイド服を着た女性達が出てきた。 「巡査部長、遅いじゃないですか」  と苦情を言いつけてきたのは、交通課の女性警察官だった。  当初の計画通りに当屋敷のメイド達に成り代わって、今日の捜査に加わっていた。 「ごめんなさい。敬がなかなか起きなくてね」 「まさか、毎日起こしてあげてるのですか?」 「まあね……」  敬は警察の独身寮住まいだった。  基本的に独身警察官は独身寮に入寮するのが通例であった。  それは女性も同様であるが、真樹のように家族と同居の場合は入寮することはない。  敬の寮は、丁度真樹の実家から警視庁への途中にあるから、ついでに寄っていくの であるが、公私共々夜更かしが多くていつも寝坊していることが多い。 「それで研修ははじめているの?」 「もちろんです」
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