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2019年4月 3日 (水)

性転換倶楽部/響子そして 磯部京一郎

 

響子そして(覚醒剤に翻弄される少年の物語)R15+指定

この物語には、覚醒剤・暴力団・売春などの虐待シーンが登場します
(二十一)磯部京一郎

 

「それから響子君には、会わせたい方がもう一人おられる」

「会わせたい?」

「秀治君お連れして」

「わかりました」

 秀治は、隣室の応接室に入っていった。

 そして連れて出て来たのは、

「お、おじいちゃん!」

 わたしの祖父だった。

 祖父の娘でありわたしの母親を殺したという後ろめたさと、女になってしまったと

いう理由で、仮出所以来も会う事ができなかった。

「ひろし……いや、響子。苦労したんだね」

「おじいちゃんは、わたしを許してくれるの?」

「許すもなにも、おまえはお母さんを殺しちゃいない。覚醒剤の魔手から救い出した

んだよ。あのまま放置していれば、生前贈与した財産のすべてを吸い尽くされたあげ

くに、売春婦として放り出されただろう。それが奴等のやり方なんだ。いずれ身も心

も廃人となって命を果てただろう。おまえは命を絶って、心を救ったんだ。お母さん

は、死ぬ間際になって、母親としての自覚を取り戻せたんだ。おまえを恨むことなく、

母親としての威厳をもって逝ったんだ。もう一度言おう。おまえに罪はない」

 母親の最後の言葉を思い出した。

 ご・め・ん・ね

 ……だった。

 助けて、とは言わなかった。

 殺されると知りながらも、覚醒剤から逃れるために敢えて、その身を委ねたのだ。

息子に殺されるなら本望だと、母親としての最後の決断だったのだ。

「おじいちゃん……。そう言ってくれるのは有り難いけど……。わたし、もうおじい

ちゃんの孫じゃないの。見ての通りのこんな身体だし、たとえ子供を産む事ができて

も、おじいちゃんの血を引いた子供じゃないの」

「倉本さんのお話しを聞いていなかったのかい? 臍の緒で繋がる。いい話しじゃな

いか。おまえは儂の孫だ。間違いない。その孫から臍の緒で繋がって生まれてくる子

供なら、儂の曾孫に違いないじゃないか。そうだろ?」

「それは、そうだけど……」

「おまえが女になったのは、生きて行くためには仕方がなかったんだろう? 儂がも

っと真剣におまえを弁護していれば、少年刑務所になんかやることもなかったんだ。

女にされることもなかった。娘が死んだことで動揺していたんだ、しかも殺したのが

息子と言うじゃないか。儂は、息子がどんな思いで母親を手にかけたのか思いやる情

けもなく、ただ世間体というものだけに縛られていた。弁護に動けなかった。おまえ

が少年刑務所に送られてしばらくしてからだった。本当の殺害の動機が判ったのはな。

おまえの気持ちも理解できずに世間体しか考えなかった儂は……。儂は、親として失

格だ。許してくれ、ひろし!」

 そう言うと、祖父は突然土下座した。

 涙を流して身体を震わせていた。

「おじいちゃんは、悪くないわ」

 わたしは駆け寄って、祖父にすがりついた。

「済まない。おまえを女にしてしまったのは、すべて儂の責任なんじゃ……」

 もうぽろぽろ涙流していた。

「そんなことない、そんなこと……」

 わたしも泣いていた。

「わたし、女になった事後悔してないよ。秀治という旦那様に愛されて幸せだったよ。

わたしは、身も心も女になっているの。だからおじいちゃんが悲観することは、何も

ないのよ」

「そうだよ。おじいさんは、悪くはないよ」

 秀治が跪き、祖父の肩に手を置いて言った。

「女にしたのが悪いというなら、この俺が一番悪いんだ。刑務所で、ひろしを襲わせ

るように扇動したんだからな。しかし、俺は女らしくなったひろしに惚れてしまった。

女性ホルモンを飲ませ、性転換させてしまったのも全部俺のせいだ。もちろん俺はそ

の責任は取るつもりだ。生涯を掛けて、この生まれ変わった響子を守り続ける。そう

誓い合ったから死の底から這いあがってきた。別人になっても俺の気持ちは変わらな

い。な、そうだろ? 響子」

「はい」

「どうやら君は、いずれ響子が相続する遺産を狙っているような人間じゃなさそうだ

な」

「おじいちゃん! 秀治はそんな人じゃありません」

「判っているよ。今まで、お母さんやおまえに言い寄ってくるそんな人間達ばかり見

てきたからな。懐疑的になっていたんじゃ。だが、彼の態度をみて判ったよ。真剣だ

ということがな。まあ、たとえそうだったとしても、響子が生涯を共にすると誓い合

った相手なら、それでもいいさ。儂の遺産をどう使おうと響子の勝手だ」

「遺産、遺産って、止めてよ。おじいちゃんには長生きしてもらうんだから」

「あたりまえだ。少なくとも、曾孫をこの手に抱くまでは死なんぞ」

「もう……。おじいちゃんたら……」

 ゆっくりと祖父が立ち上がる。腰が弱っているので、わたしは手を貸してあげた。

「秀治君と言ったね」

「はい」

「孫の響子をよろしく頼むよ」

「もちろんです。死ぬまで、いや死んでもまた蘇ってきますから」

「やだ、ゾンビにはならないでよ」

「こいつう……」

 秀治に額を軽く小突かれた。

 わたしの言葉で、部屋中が笑いの渦になった。

「あ、そうだ。遺産って言ったけど、わたしには相続権がないんじゃない? 法定相

続人のお母さんをこの手で殺したんだもの」

「遺言を書けばいいんだよ」

「あ、そうか」

「儂の直系子孫は、娘の弘子の子であるおまえだけだ。遺産目当ての傍系の親族にな

んかに渡してたまるか。まったく……第一順位のおまえの相続権が消失したと知って、

有象無象の連中がわらわら集まってきおったわ」

「でしょうね。お母さんが離婚した時も、財産目当ての縁談がぞろぞろだったもの」

「とにかく、今夜親族全員を屋敷に呼んである。やつらの前で、公開遺言状を披露す

るつもりだ。儂の死後、全財産をおまえに相続させるという内容の遺言状をな。だか

ら屋敷にきてくれ、いいな」

「わたしは、構わないけど。女性になっているのに、大丈夫なの? 親族が納得する

かしら。それに遺留分というのもあるし」

「納得するもしないも、儂の財産を誰に譲ろうと勝手だ。やつらに渡すくらいなら、

そこいらの野良猫に相続させた方がましだ。それに遺留分は被相続人の兄弟姉妹には

認められていないんだ。遺留分が認められている配偶者はすでに死んでいるし、直系

卑属はおまえしかいない。遺言で指名すれば、全財産をおまえに相続させることがで

きるんだ」

「へえ……そうなんだ。でも、やっぱり納得しないでしょね。貰えると思ってたのが

貰えないとなると」

「だから、儂が生きているうちに納得させるために生前公開遺言に踏み切ったのだ」

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