性転換倶楽部/特務捜査官レディー 闇医師・黒沢英二(R15+指定)
特務捜査官レディー (響子そして/サイドストーリー)
(十六)闇医師・黒沢英二 いわゆる裏口から入った玄関は、監視カメラに四方から見張られており、異様な雰 囲気があった。 「ここから先はこれが必要なんだ」 と敬が胸ポケットから取り出したのは、IDカードのようだった。 端末にカードを挿しいれると、ドアが自動的に開いた。 「なんか物々しいのね」 「闇の世界だからね」 「大丈夫なの? 闇の世界に踏み込んだら二度と抜け出せないんでしょ?」 「普通ならね。俺達は特別に先生の預かりとなっているらしい」 「預かり? 変なの」 「一応先生は、闇の世界の日本支部では顔ということらしいね」 「日本支部?」 「これ以上は俺も知らないし教えてくれない。知ってもいけない」 「ふうん……」 語らいながら長い廊下を歩いていた。 いくつかの扉があったが、 「勝手に入ってはだめだぞ。とんでもない事になる」 と釘を刺された。 行き止まりになった。 一番奥のドア、ここでも例のIDカードを使って開ける。 「さあ、ここだよ」 と、敬の後について入ったところは、どこにでも見られるごく普通の診察室だった。 締め切られた薄暗い部屋を想像していたが、カーテンの開けられた窓からは十分な 採光があり、壁も床も汚れ一つなく清潔感に溢れていた。 「やあ、待っていたよ。元気みたいだね」 そこには、あの黒沢先生が椅子に腰掛けて微笑んでいた。 ニューヨークにおいて死に掛けていた佐伯薫を、斉藤真樹として生まれ変わらせて くれたあの医者である。 「先生こそ、お元気でなによりでした」 「早速だが、君を診察させてくれ」 「え? いきなりですか?」 「当然だ。そのために君を呼んだんだからね」 「判りました……」 と答えて敬の方を見やる真樹。 診察となれば、当然衣服を脱ぐことになるだろう。敬の視線が気になったからだ。 「ああ、敬君は外に出ていてくれ。そっちのドアから出て待合室でな」 「ええ? こっちは表の世界の病院ですよ。しかも産婦人科なんですから」 「何を言ってるんだ。君たちは結婚するんだろう? 真樹君が妊娠したら、夫として 分娩に立ち会ってもらうからな」 「分娩に立ち会うんですか!?」 「当然だろ。子供は夫婦で共同して生み育てるものだ。分娩に苦しんでいる妻を放っ て置いて、父親だけ楽しようなんて考えるなよ」 「そんなつもりはありませんよ。立ち会えと言えば、立ち会います」 「ならいい! 実際に真紀君が妊娠したら分娩立会い以外にも、君にも来てもらって いろいろとしてもらうことがあるからな。待合室を使うことも頻繁に多くなる。今か ら慣れておいたほうがいいぞ」 「判りましたよ。待合室ですね」 とあきらめた様に入って来た方とは反対側のドアから出て行った。 ドアを開いた隙間から大きなお腹を抱えた妊婦がかいま見えた。 「表の病院と繋がっているんですね」 思ったことを口にする真樹」 「表も何も、この診察室は表側だよ。君の入ってきたドアの先が闇の病院だ」 「すると、そのドアが表と闇を区切っている?」 「そういうことだ」 「じゃあ、最初から表から入ってきても良かったんじゃないですか?」 「敬君が恥ずかしがるだろうし、闇の入り口のことを君に知っておいてもらいたかっ たからだ。何せ、麻薬と銃器を取り扱う君たちのことだ。全然無関係とは言えないだ ろう?」 「そうかも知れませんね」 確かに、知っていても損はないだろう。 「一応念を押しておくが、闇の世界のことは、君たちからは決して口を挟んではいけ ないよ。私が必要と判断して話す意外にはね。そうしないと、君たちを闇の世界に引 き入れなければならない事態にもなる。二度と抜け出すことの出来ない世界にね」 「判りました。私たちの方から質問や詮索をしなければいいんですね」 「そうそう……」

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