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2019年1月19日 (土)

妖奇退魔夜行/蘇我入鹿の怨霊 其の廿漆

 陰陽退魔士・逢坂蘭子/蘇我入鹿の怨霊 其の廿漆(土曜劇場)

(廿漆)魔人対決  蘭子と魔人のバトルに戻る。  魔人に対して、長曾祢虎徹を構える蘭子。 『ほほう。使い魔を従えていたとはな』  魔人が初めて口を開いた。 「この剣の本性が見えるの?」 『儂に勝てるかな?』 「やってみなければ分からない」 『ならば、かかって来るがよい!』  誘われるように、八相の構えを取る蘭子。  左上段の構えから、剣を下ろし、鍔(つば)が口元に位置し、左手は身体の中心、剣 は45度傾けて、刃を相手に向けた構えである。長期戦に備えて、無駄な体力を消耗し ない態勢である。 「いざ、参らん」  地面を蹴って、えいやっとばかりに切りかかる蘭子。 「やった!真っ二つだ」  井上課長が小躍りする。  見事に魔人を両断したかと思った瞬間、魔人は霧のように消え去った。 「なに!消えた?」  きょろきょろと周りを見回す井上課長。 「後ろだ!」  蘭子の背後に姿を現す魔人。  反転して、再び剣を振る蘭子。  しかし、今度も剣は宙を舞うだけだった。  姿を現しては、また消えるを繰り返す魔人。  斬りかかっても、斬りかかっても、剣は宙を舞うだけだ。 『どうした、先ほどの威勢は虚勢だったのか?』 (おかしい……手ごたえがない)  冷静になって雑念を払い魔人の気配を探す。 (相手が目に見えるからいけないのよ)  静かに目を閉じて意識を研ぎ澄ます。  ゆっくりと周囲を精神感応で魔人の気配を探す。  とある一点、凄まじい気の流れを感じて目を開けると、蘇我入鹿の首が怪しく輝いて いる。 「分かったわ、本体はそこよ!」  蘭子は、虎徹を入鹿の首に投げつけた。  それは見事突き刺さる。 『ぐああっ!』  悲鳴のようなうめき声を上げる魔人。  とともに、目の前の姿が消え去った。  どうやら幻影と戦わされていたようだ。  髑髏から靄のようなものが沸き上がり、魔人本体が姿を現した。  すかさず駆け寄って、虎徹を引き抜き、本体に斬りかかる。 『お、おのれえ!』  今度はダメージを与えたようであった。  さらなる追撃を掛ける蘭子。  虎徹を握りしめ精神集中すると、剣先がまばゆいばかりのオーラを発しはじめる。 「いけえ!」  全身全霊を込めて剣を振るうと、オーラが怒涛のように魔人に襲い掛かった。  オーラが魔人の全身を覆いつくす。 『ぐ、ぐあああ』  断末魔の声を上げながら、消えゆく魔人。  後には、放心したような石上直弘がゆらりと佇んでいた。  次の瞬間。  その眉間に弾丸が突き刺さり血飛沫を上げる。  先ほど井上課長が撃った拳銃の弾が、今更にして命中したというところだ。  どうやら、石上の周りが時空変異を起こしていたようだ。  どうっと地面に倒れる石上。  蠢いていた魑魅魍魎も地に戻っていき、姿を消してゆく。  やがて静寂の闇が辺り一面を覆う。 「終わったのか?」  井上課長が尋ねる。 「ええ、終わりました。彼は?」 「死んでいるよ」 「そうですか、助けたかったですね」  魔人と血の契約を交わした者は、魔人が倒れれば自身も倒れる。  悲しい現実である。
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