性転換倶楽部/特務捜査官レディー 実母との再会(R15+指定)
特務捜査官レディー(R15+指定) (響子そして/サイドストーリー)
(七)実母との再会 「ねえ、真樹」 「はい。何でしょうか?」 「あなた、実家には連絡くらいはしてるの?」 実家という言い方をしているが、薫としての生家のことを示していた。 「え?」 「してないでしょう?」 「は、はい。でも、以前のあたしは死んだことになってますから……」 「あなたが生きていると知ったら喜ぶわよ」 「でも……」 「あなたの生活態度とかみると、いかにお母さんが大切に育ててくれたかが良く判る わ。そんな素晴らしいお母さんがいるのに、黙って放っておくなんて親不孝よ。わた し達だって、あなたを独り占めするのも申し訳ない気持ちで一杯よ。わたし達に気を 遣ってくれるのは嬉しいけど、たまには帰って元気なところを見せてあげなくちゃ。 とにかく一度帰りなさい。これは母の命令です」 そこまで言われては断るわけにはいかなかった。 「判りました。実家に一度帰ってみます」 気は重いが、正直には会いたい気持ちはあるにはあった。 死んだことになってる自分に会って母がどういう気持ちになるかが心配だったので ある。 とにかく会うだけは会ってみよう。 結局、実家に舞い戻ってきてしまった。 「あの……うちに、何かご用でしょうか?」 振り返ると母が立っていた。 見つめ合う二人。 「ちょっと、早く中に入って」 急に態度が変わり、真樹の手を引いて中へ招き入れる。 扉を閉めると表情を変えて話し出す。 「あなた、薫ね。整形してるみたいだけど……」 「どうして判るの……?」 「あなたの母ですよ。どんな姿になろうとも判りますよ」 「そうなんだ」 「生きていたのね」 「はい」 そう言うと、真樹を抱きしめて涙を流しはじめた。 「よかった……ほんとうに良かった」 心底再会できて感激している様子が感じられた。 「どうして今まで連絡を寄越さなかったのよ。警察の方からニューヨークで殉死した という報告があって、葬式まで出して……」 「遺体もなしに葬式しちゃったんだね」 「しようがないでしょ。警察側から死亡報告書を提出されたんじゃ、葬式するしかな いじゃない」 「でも遺体が見つからないから、心の底でもしかしたら生きているんじゃないかと思 ってたんでしょ。だから家の前で会った時に気づいたのね」 「そりゃそうよ。母だもの、この目で確認しない限り信用できなかったのよ」 「でも整形して容姿が変わってたのに、何を基準にあたしと判断したの?」 「雰囲気ですよ。身体からにじみ出ているの。さっきあなたは家を見つめながら、い かにも懐かしいといった雰囲気を漂わせていたのよ。まるで嫁に行った娘が実家に帰 って来たという表情してたよ。そんな人間といえば薫しかいないじゃない」 「そうか……。そんな表情してたんだ」 「どうやら性転換……したみたいだね」 「うん。あたしの意志じゃなかったけど……、いずれはやろうとは思ってた」 「意志じゃない? まあ、それはともかく、玄関先で立ち話もなんだから、とにかく 上がりなさい」 「うん、そうだね。色々と積もる話しもあるから……」

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