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2018年10月15日 (月)

性転換倶楽部/ある日突然に I page-7

女性化短編小説集「ある日突然に」より I page-7

page-7 「ともかく、君は合格だ」 「本当ですか? ありがとうございます」 「それから改めて紹介しておこう。こちらの女性だが、君と同じSRSの手術を受け ている。元男性の響子くんだ」 「うそっ! 信じられません」  受付けで出会ってから、その接客応対の態度、廊下を歩く姿勢、お茶を運んできて 差し出すその仕草、紛うことなき女性そのものの動きでした。そして自分で施したと 思われる化粧術は完璧です。とても男性だったとは思えません。 「この娘も、私が本人の意志に無関係に手術を実施した最初の女性だ。はじめての時 は今の君とまったく同じだったよ。それが見ての通りの完璧の女性に生まれ変わった のだよ。どうだね、響子くん」 「はい。最初の頃は、社長を恨みもしました。でも今は、素直に感謝しております。 戸籍も女性に変更されましたから、何の心配もしておりません」 「そういうわけだから、君も立派な女性になれるよ。そう確信してSRSを実施した のだからね」  社長は言葉を続けました。諭すように静かな口調で。 「以前の男性のままの君だったら、一生うだつの上がらないごく平凡なサラリーマン で終わったに違いない。多くの部下を従え、率先して行動し、会社全体を活性化させ るような人物というものは、男性ホルモンを活発に分泌し、オーラを発しているもの だ。それが君には微塵もない。決して人の上に立てるような人物ではなかった。会話 していてすぐにぴんときたよ。それは君の潜在意識の中に存在する、女性的な部分が そうさせるものだ。診察していて私は確信した。君の潜在意識が表に出たがっている ように感じた。それが君の体躯にも顕著に現れている。色白で細身の身体、そして童 顔がそれを物語っている、男性ホルモンが正常に分泌されていれば、あそこまで華奢 な身体ではなかったはずだ。だから君には女性として再出発したほうが幸せだと判断 した。そして女性ホルモンを投与し、再来院した時に無断で手術した。話しをすれば、 君がそれを肯定するとは思わなかったから。君は二十歳前だから、女性ホルモンをも う少し投与すれば、骨盤もさらに発達して、出産も楽にできる、より完全な骨格が形 成できるだろう」 「そうでしたか……」 「さて、人事部長から、受付嬢に推薦するという連絡がきているよ。受付嬢は会社の 顔にあたる部署だ。社でも一・二位を争う美人が配属されることになっている。君の 素性は内密にしていたが、どうやら人事部長は君の容姿に惚れ込んだようだね。もち ろん受付嬢は、接客応対のエキスパートである必要もあるが、その辺は研修で徹底的 に教育を施されるから、安心したまえ。今後は、この響子くんと一緒に、社のために 尽力してくれたまえ」  響子と名前を呼ばれた彼女は、 「里美さん? で、よろしいでしょうか。一緒に頑張りましょうね」  とにっこりと微笑んで、その白く透き通るような細い手を差し出しました。 「あ、はい。お願いします」  あわてて立ち上がり、その手を握りかえします。柔らかい女性的な感触が伝わって きます。 「ああ、名前だけど、里美のままでも構わないだろう? 響子くんは男性的な名前だ ったから、戸籍変更の際に、改名したのだがね」 「はい。結構です」  先程、響子さんが疑問形で名前を呼んだのは、そういうわけね。 「早速で悪いのだが、明日から出社してくれたまえ。ユニフォームは用意してある。 それと、以前の住まいには戻れないだろう。しばらくは響子くんのところで一緒に暮 らしたまえ。いいね、響子くん」 「はい、喜んで。先輩として、私生活面でも女性としての身のこなし方など、お教え しようと思います」 「うん。いい心掛けだ。感謝するよ」 「お願いします」  改めて響子さんに対し、深々とお礼をしました。 「響子くん、今日はこれで退けていいよ。里美くんにユニフォームを試着してもらっ て、会社内を一通り案内してあげたら、そのまま一緒に帰りたまえ」 「はい。ありがとうございます。里美さん、行きましょう」  と手を引いてくれました。  ドアの前で再び姿勢を正して、 「ありがとうございました」  深々とお礼を述べて静かに退室しました。  丁度その時、一人の研究員と思しき服を着た女性が入って行きました。 「社長!新薬が完成しました!!」 「また、おまえか!今度はなんだ?」 「はい、女性を男性に性転換する薬です!」  というところで、ドアが閉められました。 「さあ、まずは女子更衣室へ行きましょう。あなたのロッカーとユニフォームが用意 してあります」  手を取り合って仲良く歩いていきました。まるで長年付き合った親友のような感情 になっていました。  こうしてわたしの新たなる人生がはじまったのでした。
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