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2018年10月 8日 (月)

性転換倶楽部/ある日突然に I page-3a

女性化短編小説集「ある日突然に」より

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 まるでこっちの話しを全然聞いていない。陶酔したように自分の執刀した手術のこ
とばかり説明している。それはさらに続く。
「契約書も交わさずにこっちで勝手に手術したんだ。その費用はいらないよ。じつは
SRSの腕を磨きたくてね。しばらくは研究目的で無料で手術してたが、その最後の
患者が君というわけだ。運がいいよ、君は」
「とんでもない、最悪ですよ」
「普通のSRSでは、ダイレーションといってペニス状の拡張具、ダイレーターを挿
入して、形成した膣が再び癒着しないようにしなければならないのだが、君の場合は
外陰部まで含めて女性のものをそっくり移植しているし、傷口もきれいだからその必
要はないよ」
 この医師に何言っても無駄かな……。諦めの境地になっていました。
 ……姉さんが、この姿を見たら卒倒するだろうな……
 ふと姉の事が思い浮かびました。
 ……姉さんを装って会社に休みの連絡したっけ……
「会社! そうだ、会社だよ」
 それは大問題でした。
 一人暮らしをしているので、生活費を稼ぐためには働かなくてはなりません。
 身体も声も完全な女性になってしまいました。誰が倉本里美と信じてくれるでしょ
うか。男として育ててくれた両親だって、信じてはくれないでしょう。仮に信じてく
れたとしても、会社では奇異の視線を浴びるだけですし、両親は悲嘆にくれてしまう
だけです。
「どうしてくれるんですか。こんな身体にされて、もう今の会社に行けないじゃない
ですか。生活費をどうやって工面したらいいんですか」
 大声で医師に詰め寄りました。さすがに陶酔してした医師も、我を取り戻したよう
です。
「おお! そうじゃった。忘れるところだったよ。そうだろうと思ってね。新しい就
職先となる会社の面接の紹介状を書いてあげた。時期遅れだけど、そこの社長と懇意
でね。すでに電話連絡してあるから面接を受けさせてくれるはずだ。退院の時に、渡
してあげよう」

 手術創が治るのを待って退院することができました。
 二週間の入院生活で、すっかり変わり果てた自分の性器でしたが、今では自分自身
のものとして慣れ親しむような感情を持つまでになっていました。いえ、そうならざ
るを得なかったというべきでしょうか。
「移植した性器が完全に自分のものになるまで、女性ホルモンを投与しなければなら
ないから、二週間に一度は来院してくれ。ああ、例の薬じゃなくてごく普通の女性ホ
ルモンだよ、安心したまえ。移植した部位がちゃんと今の身体に同化しているかも調
べなければならいし、卵巣や子宮が正常に機能しだしたら生理もはじまる。その手当
の仕方も教えなければならないからな」
「わかりました」
「君は、もう一人前の女性だ。これからは、素敵な男性と恋をし、結婚をして、子供
を産んで育て上げ、女性としての幸せを掴んでくれたまえ」
「はい」
「そうだ! 約束の紹介状を渡しておこう。期日は今日だ。退院したその足で会社に
面接に行ってくれ」
「いきなりの今日なんですか?」
「相手も忙しい身なんだよ。こんな時期に面接を受けさせてもらえるだけでも感謝し
たまえ」
「わかりました。確かに会社訪問の時期ではありませんからね」
「それとその格好じゃ、面接どころか門前払いされる、ついでにリクルートスーツを
新調しなくちゃな。女装者とかにも理解あるブティックを教えるから、面接の前に訪
ねたまえ」
「ブティック?」
 医師は、紹介状と共に、会社とブティックの位置を記した簡単な地図を渡してくれ
た。
「このブティックって商店街じゃないですか」
「あたりまえだよ。人気のないところに店を開いてどうするんだ? 商店街じゃなき
ゃブティックはやっていけないよ」
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