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2018年9月 5日 (水)

性転換倶楽部/ドラキュラ X (九)二人仲良く

(九)二人仲良く

 やがて意識を取り戻した。
「あ、どうしたんだろう。僕は……」
「あの……。気を落ち着けてこれを見てください」
 わたしは彼がわたしのために買ってくれた姿見を取り出して、彼のその姿を確認さ
せた。
「こ、これは!」
 驚愕の表情で青くなっている。
「これが、今のあなたの姿です」
 事実を伝えるわたし。
「お、女になったのか?」
「その通りです。正真正銘の女性に生まれ変わりました」
「信じられない」
「でしょうが、真実です。もはや元の男性には戻れません。その証拠がこのわたしで
す。あなたの同僚の警察官でした」

 じっとわたしを見つめる彼。
 これまでのことを思い起こしているようだった。
 そして気がついたように、
「まさか、おまえ……。もしかして、おまえは!」
 あの駐在所でのことだ。
 失踪した警察官と、脱ぎ捨てられた警察の制服と裸の女性。
 そして自分に起こった摩訶不思議なる現象。
 導かれる結論は一つしかない。
「教えてくれ。一体何が起こっているのだ」
 混乱しきっていた。
 当然のことだろう。
 突然、女性になってしまって冷静でいられる人間はいない。
 わたしは、自分の身に起こったすべてのことを話すことにした。
 あの女性のことからはじまり、昨夜に至るすべてのことを。

「そうか……。そうだったのか……」
 小さく押し殺したような声で呟く彼だった。
「ごめんなさい……」
 わたしもこうなることとは思いもしなかったことである。
 女性になってしまい、匿われて生活をしていく中で、彼に好意を抱き始めていたの
は真実だ。
 これまでに幾度となく彼に抱かれたいと思いつつも、万が一元に戻ったらと我慢し
ていた。
 だが、昨夜だけは異常なまでの性欲の高まり、まるで血に飢えたドラキュラのよう
に彼を求めてしまった。自分の意識にないところで、彼を誘惑しことに及んでしまっ
た。
 そして結果がこれである。
「いや、君には罪はないよ。仕方がなかったんだよ。その女性もたぶんね」
「許してくれるの」
 わたしは念のために確認した。
「許すも何も……」
 彼はここで言葉を一瞬止めてから、
「あははは……」
 と笑い始めたのである。
 こちらがびっくりしてしまう。
「ど、どうしたの。気が違った?」
「いや、逆に感謝しているくらいさ」
 どういうこと?
 彼は立ち上がって箪笥から何やら取り出してきた。
「これを見てくれ」
 と、差し出したのは写真だった。
「写真?」
「よーく。それを見てくれ」
 そこには綺麗なドレスを着た女性が映っていた。
 あれ?
 これは……。
 その女性は、まさしく彼だったのだ。
 化粧をしドレスを着てはいるが、まぎれもなく彼だ。
 女装?
「判るだろう。それは俺だよ」
「こんな趣味があったの?」
 女装趣味とはね。
 彼のこれまでの日常からはとても信じられないことだった。
 いや、だからこそなのかも知れない。
 警察官という職務上、公務に追われて緊張の連続の日々だったり、違反切符などを
切る時には運転手から怨まれ暴言を吐かれることもある。常に警察官らしい規律正し
い生活を強要されて息つく暇も与えられず、はめを外すこともできない。
 そんな日々から脱却する手段として、女装して身も心もリラックスできる時間を持
つ。
 十分考えられることである。
 まさかあの人が……。
 というのは良くあることである。
「実はね。女に生まれ変われたらどんなに楽しいだろうかとずっと思っていたんだ。
だって綺麗なドレスは着れるしね。それにいい所の男性と結婚すれば三食昼寝つき、
あくせく働く必要もないしさ」
 あはは。
 警察官として虐げられた逆境から解放されたいって感じだね。
「とにかく感謝こそすれ、恨む気持ちは一切ないから安心して」
「そ、そう……」
 そう言ってくれるのは有り難いが、何かしっくりこないものがある。
「さてとこの姿になったんだから……」
 と、鼻歌交じりで、
「悪いけど、あなたの衣装を借りるね」
 と、箪笥を開いてわたしの衣装を取り出していた。
「ねえ。これ、あたしに似合うかしら」
 って、すでに女言葉使ってる……。
 そして慣れた手つきで着替えを始めた。
 化粧も完璧だった。
 相当の女装癖があると見える。
 どうりで女性になっても少しも動揺していない理由がわかった。
 これなら女性としての今後の生活にも何の支障も起きないだろう。
「さあてと……」
 すっかり身も心も、そして衣装も完全に女性になった彼……いや、彼女だった。
「ねえ、一緒に出かけましょうよ」
 女性になったのを喜び、早速外を出歩いてみたいという。
 なんか……。
 こちらが当てられっ放しだった。
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