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2018年9月28日 (金)

性転換倶楽部/静香の一日(九)そんでね……

 静香の一日

(九)そんでね……  アパートの外。  静香(自分の身体)としばらく佇んだまま、俊彦の部屋を見つめていた。 「お兄ちゃん、どうするの?」  静香が聞いた。 「そうだな……。俊彦となるようになるしかないさ」 「そうじゃなくて、あたし達のことよ。元に戻れると思う?」 「判らないよ。入れ替わったのは、ほんとに奇跡なんだから」 「元に戻るまでは、あたしはお兄ちゃんに、お兄ちゃんはあたしとして生活するの?」 「それしかないだろう? 入れ替わったなんて誰も信じてはくれないさ。人はその姿 でしか物を見ないものだ。身体が男なら内面の男、女なら内面も女だ。無理に押し通 そうとすると精神異常だと判断されるぞ」 「ということは……。あたしはお兄ちゃんの会社で働かないといけないの?」 「そういうことになるな。俺は今日から女子大生だ」 「もうおにいちゃんの馬鹿!」  楽天的な兄に対して憤りをみせる妹だった。  しかし、それ以外に生きる道はなかった。  元に戻るまでは、それぞれがそれぞれの身体に相応しい生活を続けるしかないのだ。  こうして数年の時が過ぎ去った。  あれから入れ替わりが解けて元に戻るかも知れないと思ったが……。  どうやら、静香は重雄として、重雄である自分は静香として生涯を生きていくこと になったようだ。  もはや元には戻ることのできないであろう不可逆的な事態が発生したからだ。  妊娠したからだ。  あれから結局、俊彦はすべてを許してくれ、結婚してくれたからである。  幼馴染みであり無二の親友との交友を絶つことはできなかったようだ。  俊彦にとって静香という女性は、その心は無二の親友であり、その身体は恋焦がれ た相手である。  見捨てるわけにはいかない。  そう考えたに違いない。  二人は結ばれ、そして静香の身体のままで妊娠した。  俊彦と静香の血の繋がった子供の存在は、まさしく「子はかすがい」であって、二 人の関係を解消することのできないことを決定的にした。  では、本当の静香である重雄はというと……。  最初は嫌がっていたが、会社で働くことにも慣れ、結構女性からももてることもあ って、意外にもその生活をエンジョイしているようであった。 「一番は、何と言っても、生理から解放されたことだな。毎月毎月やってきて、生理 痛や頭痛に悩まされるし、身体は重くて毎朝起きるのが辛かったよ。便秘にもなるし よ。今は、何もかもが快適だ。快食・快眠・快便だぜ。いつでもどこでも、立ちショ ンができるしな。あははは!」  と、男言葉で、事も無げに言ってのける。  はまってるじゃなかいか。  こっちも専業主婦として、それなりに楽しい生活をしているけどね。  まあ、ともかく。  静香と重雄、そして俊彦と、それぞれがそれぞれに楽しく生きているよ。  これもまた、人生の一つだと思うよ。  ほんとに……。  了
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