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2018年9月21日 (金)

性転換倶楽部/静香の一日(六)俊彦の部屋へ

 静香の一日

(六)俊彦の部屋へ  ともかくも席を立って喫茶店を出る。  雪の降り方はさらに勢いを増していた。  本降りだ。 「今夜は積もるわね」  何気なく呟いてみせる。 「そ、そうだね」  それから駐車場へと向かう。  俊彦の愛車はごく普通の軽自動車だ。  以前の俊彦は車検の度に車を、それもガソリンを馬鹿食いする外車を次々と買い換 えていたが、静香と交際するようになってからは、燃費が良く車検なども安いこの軽 自動車に乗り換えて、その後はずっとこの車を乗り続けている。  もちろん指輪を買うためである。  結婚式のための貯金もはじめていた。  だから遊ぶための資金はほとんどゼロに近かった。車を買い換える余裕などない。  それだけ真剣に静香との結婚を考えているからだ。  車に乗って俊彦のアパートへと一路向かう。  途中でガソリンスタンドに立ち寄った。  タイヤチェーンを買うためである。  それに雪道はやたらと燃料を消費する。  明日は日曜日で車を使わなくても、翌月曜日には裏道はアイスバーン状態となって いるはずだ。  念のためにも満タンにしておこうというつもりだろう。 「失礼します。灰皿はよろしいですか?」  俊彦はヘビースモーカーである。  車に備え付けの灰皿は吸殻で一杯になっていた。  こりゃまあ……。煙草の本数を減らすように言っておいた方がいいな。 「お願いします」  灰皿を外してスタンドマンに渡す。  灰皿を外している最中にも、スタンドマンの視線が、ミニのタイトスカートから覗 く太ももに注がれているが判った。 「窓をお拭きします」  スタンドマンが窓ガラスを拭き始めたが、あいも変わらず時折ちらちらと足元を見 ている。 (まあ、気持ちは判るけどね)  叱り付けてやろうかとも思ったが、スタンドでアルバイトしたこともあって、その 大変さは身に沁みているので、許してやろうと思う。  やがて俊彦が運転席に戻ってくる。 「だめだったよ。タイヤチェーンを買おうとしたんだけど、売り切れた後だった」 「仕方がないわね」  当たり前だよ。雪が積もりそうなんだから、持っていない誰もがチェーンを買いに くるさ。 「温かいコーヒーを買ってきた」  と缶コーヒーを手渡してくれる。 「あったかい!」  暖房の効いた車内は乾燥して喉が渇く。  温かいことよりも水分が補給できるほうがありがたかった。  そうこうするうちに俊彦のアパートのそばの駐車場にたどり着く。  駐車場に車を停め、アパートへ向かう。  あいも変わらず雪は降り続けている。  空を仰いで、 「この様子じゃ、一晩中降り続けるみたい……」  と呟くように言う静香。 「そうだね……」  もちろんその意味が判らない俊彦ではないだろう。  階段を昇って俊彦の部屋へ。
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