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2018年8月27日 (月)

性転換倶楽部/ドラキュラ X (五)今後

(五)今後

 眠れぬ夜が明けた。
 いつまでも布団に潜っているわけにもいかない。
 裸のままではいられないので、同僚の箪笥から適当に衣服を探し出して着ることに
する。
 この女性の身体に男性用の衣服を着るのは、いささか抵抗があるが他には着るもの
はない。
 上手い具合にトレーニングウェアがあった。
 これなら女性が着ても大丈夫だろう。
 しかし変な気分だ。
 どうもしっくりこない。
 その原因は男性用の下着であった。
 女性として男性の衣服を着ることに違和感を覚えているのであった。
 いつの間にか女性的な心境になっている自分に驚いている。
 このまま時が経てば、身も心も女性に成りきってしまうのではないだろうか。
 そんな感じがした。

 同僚が戻ってきたのは、その日の午後六時だった。
 本来なら正午前には帰ってこれたはずだが、警察官失踪ということで一悶着があっ
たに違いない。
 やれ報告書だの、失踪した警察官の捜索だのと、てんてこまいだったのだろう。
「ああ、ちゃんといてくれたんだね。もしかしたらどこかへ行っちゃってるかもと心
配してたんだ」
 そりゃあ、着るものがあれば出ていったかも知れないけど……。
 それにどこへ行けばいいというのだ。
 今の自分にどこにも行く宛てはない。
「僕の服を着てたんだ」
「すみません」
「いいんだよ。ああ、これ……。君のために買ってきたんだ」
 と紙袋から取り出したのは……。
 ブラジャーやショーツなどの下着類。
 そしてスカートやらブラウス、そしてワンピース。
 靴や鞄、そして化粧品もあった。
 女性として必要な一揃いのものがあった。

 なんだ。
 帰りが遅かったのはこれを買い揃えていたのか。
 男性が女性用の品々を買うには相当の勇気がいったことであろう。
 買い物客の女性達から奇異な眼差しを受けながら、ブラジャーを手に取りレジに向
かう。
 冷や汗をたらたら流しながら買い物を続ける男が一人。
 そんな情景を思い浮かべて、つい噴出しそうになるわたし。
 わたしのためにこんなにしてくれるなんて……。
 心が動かされた。

「ありがとうございます」
 素直にお礼を述べる。
「い、いや。そのままじゃあ、外にも出られないからね。サイズを聞いてなかったか
ら、ぴったりというわけにはいかないだろうけど、標準的なサイズだから大丈夫だと
思う」
 ご好意に甘えて、さっそくそれらの衣服に着替えることにする。
 違和感のある男性用を着ているわけにはいかない。
「ちょっと煙草でも買ってくるよ」
 と、気を利かせて外へ出て行く同僚。
 女性が着替えをするのに、一緒にはいられないからだろう。
 トレーニングウェアやパンツなどを脱いでいく。
 男性用衣料を脱ぎ去ってほっとするのは、すでにすっかり女性心理になっている証
拠であろう。
 ショーツを手に取る。
 ゆっくり片足ずつ足を通してそれを履く。
 女性であるその部分を覆い隠し、吸い付くようにぴったりとおさまった。
 なんか安堵する自分だった。
 やはりこっちの方がしっくりとした感じがあって気持ちが良かった。
 なぜそう感じるかが不思議であったが……。
 さらにブラジャーを身に着けることにする。
 豊かな乳房をやさしく包む、女性だけが必要とするもの。
 ストラップに腕を通して、カップに乳房を納め、背中のホックを止める。
 これもぴったり合っていた。
 きれいにカップの中に納まり、きれいな胸の谷間を形作っていた。
「まんざらでもないわね」
 実に不思議だった。
 女性衣料を身に着けたせいだろうか、すっかり女の子気分になっていた。
 迷うことなくブラウスを着込み、スカートを履いた。
 ワンピースもあったが、自分の趣味に合っていなかったから、着る気分にはなれな
かったのだ。
 化粧に取り掛かることにする。
 ふんふんふん。
 鼻歌交じりで楽しそうに化粧をするわたし。
 しかも化粧などしたことないはずなのに、手際よく化粧をしている自分に驚いた。
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