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2018年8月22日 (水)

性転換倶楽部/ドラキュラ X (三)変身

(三)変身

 それから何時間経っただろうか。
 仮眠所の壁に掛けられた時計が十二回乾いた音を響かせた。
「十二時か……」
 部屋を見回してみる。
 あの女性はいなかった。
 まるで夢のような気分。
 ゆっくりと立ち上がる。

 何かおかしい。

 床にズボンとパンツが落ちている。
 なんだ。下半身裸じゃないか。
 パンツを拾って履こうとするが……。

 な、ない!

 股間にあるべきものがなかったのである。
 驚いて手を当ててみる。
 やはりそれは無くなっていた。
 ぬっぺりとしたその部分にあるのは……。

 まさしく女性器の何ものでもなかった。

 う、嘘だろう?
 上着も脱いで裸になる。
 現れたのはたわわに揺れる立派な乳房だった。
 まさしく天変地異が起こったような衝撃を受けてしまう。
 茫然自失状態になるわたしだった。

 女性になってしまった。

 それは疑いのない事実のようだ。
 思い起こしてみる。
 そういえば、あの女性も元は男だったと言っていた。
 意気投合した女性と抱き合ったあとに変身してしまったと。
 同じことがわたしの身にも起きてしまったというのか?

 外でバイクのエンジン音がした。
 交代の警察官が来たようだ。
 仮眠所に入ってくる。
「き、君は?」
 裸でいる女性を見て驚く同僚。
 当然だろう、ここは駐在所である。
 こんなことはあるまじき光景。
 きょろきょろと周りを見回している。
「ここにいた警察官はどこにいますか?」
 まさか自分だと言っても信じてはくれないだろう。
 しかしそうなると脱ぎ捨てられた警察官の制服を説明できなくなる。
 そして目の前に裸の女性。
 警察官が女性の身ぐるみ剥いで、制服を脱ぎその女性の衣服を着て出て行ったとい
う、変態的な考えに行き着くしかない……。
「ま、まさかな……」
 同僚は不可思議な光景に頭を悩ましていた。
「と、とにかく、そのままじゃまずいよ」
 そう……。
 駐在所に裸の女性などいてはならないのだ。
「と、取りあえず。その警察官の服を着てくれないか」
 裸のままでは話をすることもできないところか。
 それ以前に理性を抑えきれなくなるだろう。
 わたしは黙って頷いて、警察官の制服を着込む。
 自分が着ていたはずの制服だったが、ぶかぶかで大きすぎだった。
 どうやら身体のサイズも小さくなってしまっているようだった。
「それじゃあ、住所と名前を聞かしてくれないか。送ってあげるよ」
 と言われても答えられるわけがなかった。
 自分の住んでいる所は警察の独身寮である。
「記憶がないんです」
 そう答えるしかなかった。
「記憶がない?」
「はい。気がつくとここに裸でいたんです」
「ここにいた警察官は知りませんか?」
「いいえ」
 静かに首を横に振るしかない。
「そうですか……。しかし困ったな」
 本署に連絡しようかどうかと悩んでいるようだった。
 連絡すれば事件となる。
 警察官失踪。
 脱ぎ捨てられた制服と謎の裸の女性。
 報道雑誌が飛びついてくる好材料であろう。
「僕の家に来ませんか?」
 同僚は悩みぬいた末にそう尋ねてきた。
 しばらく自分の家に住まわせて記憶が戻るのを待とうという考えなのだろう。
 わたしとて行く宛などない。
 黙って頷く。
「じゃ、じゃあ……」
 といって予備に置いてあるヘルメットを手渡しながら、
「悪いけど、バイクしかないんだ。そのヘルメット被って後ろの座席に乗ってくれ」
 同僚のバイクは、125ccの小型二輪。税法上で言うなら第二種原付である。
 一応二人乗りは可能である。
 仮眠所を出て表に出る。
 幸いにも時間的に人通りはほとんどない。
 このぶかぶかの警察官の制服を着た女性の姿を見られれば問題となるところだった。
 同僚が先にバイクに跨ってエンジンを掛け、続いて後ろの座席に自分が座る。
「こういうふうにさ、僕のお腹を抱くようにして掴まってくれないか」
 と、ジェスチャーを交えて指示する同僚。
 それに従って、後ろから手を回して同僚のお腹のところで手を組んでしがみ付く。
「そうそう。じゃあ、出すよ」
 うしろのわたしを振り落とさないように、ゆっくりと慎重にバイクを発進させる同
僚だった。
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