2019年10月20日 (日)

銀河戦記/機動戦艦ミネルバ 第五章 ターラント基地攻略戦 V

 機動戦艦ミネルバ/第五章 ターラント基地攻略戦
                 V  ミネルバ以下の戦艦がカッシーニの森に隠れるように着陸している。  恒久修理班が損傷した外壁を修理している。  その間に、パイロット候補生達の訓練が再開された。  発着格納庫に集められた訓練生に、サブリナとナイジェルが訓示を述べる。 「パイロットになるための訓練はきびしいが、十分な訓練を重ねて立派な戦士になって もらいたい。幸いにも先の作戦で多くのモビルスーツが手に入ったので、各自に一機ず つあてがう事ができるようになった」 「いいか。正規パイロットの先輩達のご好意で、これらの機体を訓練に使わせてもらう のだ。ようく感謝することだ」 「訓練用の模擬弾を装填しているとはいえ、実戦用の機体は訓練機に比べてパワーが違 う。心して掛かれよ」 「これよりA班からD班までの四チームに分かれてもらう。チームリーダーとして、A 班にはオーガス曹長、B班にはナイジェル中尉、C班にはハイネ上級曹長、そしてD班 は私が担当する。A班は戦艦ポセイドン、B班は空母サンタフェ、C班は空母サンダー バードに、それぞれ移乗してもらう」  搾取したモビルスーツは、ミネルバに随行する各艦にそれぞれ配分されていた。  戦闘訓練も、各艦から出発するという方式ではじめられる。 「おい。おまえは、B班か?」 「おうよ。おまえと一緒でなくて助かったぜ」 「仲間の足を引っ張るなよ」 「おまえこそ、戦闘でちびるなよ」  というわけで、A班からC班の三チームは輸送トラックに分乗して、それぞれの艦へ と移動する。 「中尉殿、もうしわけありませんが勝たせてもらいますよ」 「何を言うか。おまえが戦うわけでもあるまいし」 「作戦ですよ、作戦」 「作戦だと?」 「ランドール提督だって、どんな不利な情勢でも、作戦によって勝利に導きましたから ね」  ナイジェル中尉とオーガス曹長が言い争っている間にも、訓練生の出発準備が整った。 「中尉殿。B班全員搭乗しました」  輸送トラックに全員が乗り込み、ナイジェル中尉の合図待ちである。 「おう。それじゃあ、出発するぞ」  傍らに待たせておいたジープに乗り込むナイジェル中尉。 「オーガス。おまえの作戦とやらをじっくりと見せてもらうぜ」 「たんまはなしですからね」 「抜かせ! おい、出発させろ」  ジープを発進させるナイジェル中尉。  地上用発着場からジープが出てゆく。  それを見送りながら、オーガス曹長はある物が到着するのを待っていた。 「曹長! 手に入れてきましたよ」 「おう、でかした」  部下が持ってきたのは、訓練の戦場となるカッシーニの森の見取り図だった。 「これで作戦が立てられるぞ」  見取り図を握り締めてジープに乗り込むオーガス曹長。  その視線にはハイネ上級曹長があった。  黙りこんだままジープに乗り込んで出発していった。 「無口なハイネ上級曹長にはチームリーダーとしてやれるのかねえ」 「心配ですか?」 「んなわけないだろ」 「そろそろ出発しましょう。中尉殿が睨んでいますよ」  サブリナ中尉がこちらをじっと見つめていた。 「おっと。後でお目玉貰いそうだ」  慌ててヘルメットを被りながら、 「ようし! 乗り込め!」  出発準備を開始した。
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2019年10月19日 (土)

銀河戦記/鳴動編 第二部 第四章 皇位継承の証 IX

第四章 皇位継承の証
                 IX  軍部統制官という官職に就いたことで、宮廷の一角に執務室を与えられたアレックス。  まず最初に行ったことは、艦隊の予算配分状況を調べさせたことである。今は、想定さ れる総督軍・連邦軍との戦闘が避けられない中で、現在予算をどれだけ消費しどれだけ残 っているかを把握しておかなければ、いざ戦争という時に予算不足で艦隊を動かすことも できないという事態にもなりかねない。  その作業は、次官として配属された新任の武官に当たらせた。  やがて報告書を見たアレックスは驚きのあまり言葉を失ったくらいである。  一艦隊あたりの予算がべらぼうな額だったのである。  アレックスも共和国同盟軍や解放軍を統率しているから、軍政部長のルーミス・コール 大佐の報告を受けて、どれくらいの予算が掛かっているかを知っている。  ところが銀河帝国軍のそれは、共和国の三倍から四倍もあったのである。  これはどういうことかと次官に尋ねるアレックス。  委任統治領や荘園領以下城主に至るまでの何がしかの土地を与えられている高級貴族の 子弟や、土地を持たない下級貴族まで、爵位を持つ者のほとんどが、将軍として任官され ているという。しかも同じ階級ながら貴族というだけで、破格の給与が支払われていると も。 「貴族による、軍部予算の食い潰しじゃないか」  階級に見合った仕事をしてくれるならまだ許せる。しかし戦闘訓練も行ったことすらな い将軍が、艦隊を統率などできるはずがない。いざ戦争となれば、艦隊を放り出して一番 に逃げ出すだろう。  役に立たない金食い虫となっている貴族を軍部から放逐する事が、アレックスの最初の 大仕事となった。  人事を握っている軍令部評議会に対し、来年度から貴族を徴用することを禁じ、現在任 官している貴族将軍の給与も段階的に引き下げるように勧告した。軍部統制官の権限であ る予算配分をカットすればそうせざるを得ないであろう。  当然として貴族達の反感を買うことは目に見えているが、誰かが決断して戦争のための 予算を作り出し確保しなければ、銀河帝国は滅んでしまうことになる。  まさか帝国は戦争が起これば、戦時特別徴収令などを発して、国民から税金を徴収する つもりだったのか? それでは民衆の反感を買い、やがては暴動となってしまうじゃない か。  アレックスは、あえて憎まれ役を買って出ることにしたのである。  続いて、統合軍作戦参謀本部に対して、大規模な軍事演習を継続して行うように勧告し て、演習のための予算を新たに与えた。予算の無駄使いのないように監察官も派遣した。  そして、統合軍宇宙艦隊司令部に対しては、新造戦艦の建造を奨励して、老朽艦の廃棄 を促進させた。工廟省には武器・弾薬の大増産を命じた。  軍人なら艦を動かし、大砲をぶっ放したいと思うはずである。しかし、これまでは貴族 達の予算食い潰しによって演習もままならず、大砲を撃ちたくても肝心の弾薬がないとい う悲惨な状態だったのである。まともに動けるのは、辺境警備の任にあって優先的に予算 を回されていたマーガレットとジュリエッタの艦隊だけであった。  すべては起こりうる戦争に向けての大改革である。  後に【統制管大号令】と呼ばれることになる一連の行動は、貴族達の大反感を買うこと になったが、一般の将兵達からは概ね良好にとらえられた。
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2019年10月18日 (金)

闘病記・全身性エリテマトーデスとは?

自分が患った【全身性エリテマトーデス】とはなんぞや?
というわけで、病名判定基準を見てみましょうか。


全身性エリテマトーデス

① 顔面紅斑
② 円板状皮疹
③ 光線過敏症
④ 口腔内潰瘍(無痛性で口腔あるいは鼻咽腔に出現)
⑤ 関節炎(2関節以上で非破壊性)
⑥ 漿膜炎(胸膜炎あるいは心膜炎)
⑦ 腎病変(0.5g/日以上の持続的蛋白尿か細胞性円柱の出現)
⑧ 神経学的病変(痙攣発作あるいは精神障害)
⑨ 血液学的異常(溶血性貧血又は4,000/mm3 以下の白血球減少又は1,500/mm3 以下の
リンパ球減少又は10 万/mm3 以下の血小板減少)
⑩ 免疫学的異常(抗2本鎖DNA 抗体陽性,抗Sm 抗体陽性又は抗リン脂質抗体陽性(抗
カルジオリピン抗体、ループスアンチコアグラント、梅毒反応偽陽
性)
⑪ 抗核抗体が陽性

[診断の決定]
上記項目のうち4項目以上を満たす場合,全身性エリテマトーデスと診断する。
提供:難病情報センター

 ということなのですが、私の場合1・4・5・6・9・10・11とほとんどの症例が該当
しました。
①では、もう恥ずかしいくらいに、頬から鼻にかけて赤い発疹ができていました。
④では、口腔内潰瘍で咀嚼が難しくて、本来全飯のところをお粥に変えてもらいました。
⑤では、腕を肩から上に上げられないし、膝の関節が異常に腫れていました。筋無力症
で起き上がれなかったり、歩けなかったりしてこれで入院。
⑥では、肺炎と胸膜炎で入院しました。X線写真を見ましたが、蜘蛛の巣状の白い影が
肺の全面を覆い尽くしていました。
⑨では「よく生きていたね」と医者に言われるくらい白血球などが極端に減少していた
らしい。
⑩では、もう一つの難病である抗リン脂質抗体症候群に掛かっています。血液が固まり
やすくなって、血栓症などに掛かりやすくなります。
⑪では、完璧な陽性。抗ds-DNA抗体、補体など血液検査では、もうめちゃくちゃだ
ったらしい。自己免疫疾患である膠原病の有力な指針である。


 というわけでめでたく? 全身性エリテマトーデスという診断が下ったのでした。
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2019年10月17日 (木)

あっと!ヴィーナス!!第三章 part-2

あっと!ヴィーナス!!

第三章 part-2  下へ降りると、みんなの視線が一斉に集中する。 「おはよう、弘美ちゃん」  挨拶もほとんど同時だった。 「う、うん。おはよう……」 「その制服似合ってるよ」 「あ、ありがとう」  自分の席に着く。 「じゃあ、遅れるから行かなくちゃ」  と立ち上がる信一郎兄さん。 「あ、俺も」  そして異口同音に、 「じゃあ、弘美ちゃん。行ってくるね」  ああ、勝手に行って頂戴。  とは思ったが、 「いってらっしゃい」  と可愛く答える弘美だった。  わざわざ手を振って出かけていく兄さん達。 「父さんは?」 「昨日早く帰ってきたでしょ。だから今日は早めに出勤してやり残したことをかたずける そうよ」 「そんなだったら、早く帰ってくることもなかったのに。母さんが教えたんでしょ」 「お父さんも女の子が欲しかった人ですからね。一刻も早く知らせてあげようと連絡した のよ。そしたら速攻で帰ってきちゃったわ。よほど早く逢いたかったのね。だから理解し てあげてね。それから、父さん母さんじゃなくて、お父さんお母さんと、『お』をつけて 呼びなさいね。女の子なんだから」 「お、お母さん? って呼べばいいわけね」  逆らってもしようがないので、素直に言うことを聞いてあげよう。 「そうよ」  言いながら、ご飯と味噌汁をよそってくれる。 「はい、どうぞ。良く噛んで食べなさいよ」  良く噛んで……だなんて今まで、一度だって言ったことがないのに……。  言葉遣いもやさしいし。  それに引き替え、まるで反対の態度なのが武司兄さんだ。  上の三人の兄と違って、朝から一言も口を開いていない。部屋を追い出されたのが気に 触ったのかなあ……。 「それから武司には途中まで同じ道だから、一緒に学校まで送ってもらうことにしたよ」  ああ……どうりで、ぶすっとしているわけね。
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2019年10月16日 (水)

あっと!ヴィーナス!!第三章 part-1

あっと!ヴィーナス!!

第三章 part-1  夜が明けた。  これからの将来を案じてほとんど眠れなかった。 「弘美ちゃん。朝ですよ」  朝はいつも低血圧だった。  だから誰かに起こされる。ほとんどが武司兄さんだが……。  あれ? 何で母さんが起こしにくるの?  何せ六人分の朝食の支度やその他もろもろ、主婦の朝は忙しいから、起こしにこれる状 況ではないはずなのに。 「早く朝食を食べないと、学校に遅れますよ」  と、やんわりとやさしく起こそうとしている。まるで女の子を起こすように……。  女の子?  あ?  がばっ! と飛び起きて確認する。  髪……長い。  胸……ある。  あそこ……ない。(涙) 「あーん。やっぱり夢じゃないよ……。女の子のままだよー」  忙しい母さんが、わざわざ起こしにきたのはそのせいだったのね。女の子の部屋という ことで、兄さん達は遠慮しているようだ。 「何を今更なことを言ってるんですか。ほらほら、早く着替えなさい」  と、パジャマを脱がされ、素っ裸に……。  うーん。この姿は兄さん達には見せられないよなあ……。  ここにいるのは母と娘、女同士だからいいんだけど……。産みの親とはいえ、あまり裸 は見られたくないな。  しかし母は一向に気にしていない。昨日のようにブラジャーとかの下着を着せられる。  ブラジャーを着用しはじめて二日め。そうそう慣れるものではない。どうも窮屈な感じ がする。 「いいわね……。じゃあ制服を着なさい」 「これって、栄進の女子制服じゃない。ヴィーナスがくれたやつ……」 「当たり前でしょ。女の子なんだから」 「これで学校に行くの?」 「大丈夫よ。ヴィーナスさんがおっしゃってたじゃない。ご近所さんから学校関係者まで、 弘美ちゃんに関わる人々の記憶をすり替えたって。戸籍も女の子になってるしね」 「そんなこと信じられないよ」 「女神さまなんだから間違いないわよ。今朝のゴミ出しの際に、近所の奥さんと話してい て、弘美ちゃんの話題になるようにそれとなく誘導したら、『弘美ちゃんて、とても可愛 いいお嬢さんね。うらやましいわ』って言ってたから」 「ほんと?」 「だから心配しなくてもいいのよ。学校の先生やお友達も、記憶をすり替えてあるはずだ から、安心して女の子として当校できるわ」 「ほんとかなあ……」  この目で確認するまでは信じられない。なにより信じて女子制服で登校して、以前のま まだったら、それこそ一生笑い草にされてしまうじゃない。  気が思いよお……。  なんて言ってるうちに、すっかり女子制服姿になっていた。  母さんは着せ替え人形が得意? 「さあ、下へ行きましょう。みんなが待ってるわ」 「待ってるって?」 「可愛い弘美ちゃんを一目見てから、出かけるつもりみたいね」 「そんなのないよ。あ、あたしに構わず行ってくれりゃいいものを」 「そんなこと言うんじゃありませんよ。せっかく家族愛に燃えているんだから」 「結局さらしものにされるだけじゃない」 「弘美ちゃん……」 「いいよ、もう……。どうせ避けられない運命なんだから、串刺しにでも何でもしてよ」  といいながら鞄を手に取る弘美だった。 「そうそう、何事もあきらめが肝心よ。昨日も言ったけど、一度その姿を見せれば慣れち ゃうから」
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2019年10月15日 (火)

あっと!ヴィーナス!!第二章 part-7

あっと!ヴィーナス!!

第二章 part-7 「それから渡す物が二つあります。一つはこれ」  と一通の書類を母に渡した。 「これは戸籍謄本……。まあ!」 「どうした?」 「ほら、あなた。弘美ちゃんのところが『長女』になってるの」 「どれどれ……ほんとだ」 「俺にも見せてよ。うーん……性別を抹消訂正していないから、生まれついての女の子と いうことじゃないか」 「ほんとだ」  戸籍謄本を回し見して確認している家族達。 「口でいうよりも実物証拠を見せた方が理解しやすいと思って持ってきました」 「恐縮いたします」 「それともう一つは……」  というと紙包みを差し出した。  それを受け取って開けてみる母。 「まあ、これは! 弘美ちゃんの学校の女子制服じゃない」 「どれ、ほんとだ」 「明日からの通学のために用意しました。これがないと困ると思いまして」 「ありがとうございます。何もかも至れり尽せり感謝します」 「女神としては当然のことですよ。すべては弘美さんが何不自由なく女の子として生きて いけるようにしなくてはならないのですから」 「いい加減にしてよ!」  これまでじっと静観して弘美が叫んだ。  あまりにも傍若無人じゃないか。  じぶんの意思が完全に無視されている。  俺……あたしの人生どうなっちゃうの?  ヴィーナスを交えての家族あげての祝杯は続いた。
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2019年10月14日 (月)

あっと!ヴィーナス!! 第二章 part-6

あっと!ヴィーナス!!

第二章 part-6 「あああああああー! お、おまえは!」  何もかも思い出した! 「ヴィーナス!」  そうだ、そうだよ。  女の子にした張本人だ!  どうしてくれるんだよ。元の身体を返してくれ。  と言おうとする前に、 「それは無理ですよ。元の身体とはいうけど、あなたは女の子として生まれるはず だったのだから。つまり今の身体が本来の形なんだから」  先に答えられてしまった。  え? まだ言ってないのに……。 「あなたの心の中はすべてお見通しです」  言いながら酒を飲む。おいしそうに。 「ねえ、この方どなた? 弘美ちゃんのお知り合い?」  母さんがそっと耳打ちするように尋ねる。 「知り合いも何も、俺……(と言ったら母の目が怒っている)……。あ、あたしを こんな身体にした張本人だよ。愛と美の女神ヴィーナスとか言ってやがった」 「まあ! それは素敵!」  瞳を爛々と輝かせてヴィーナスを見つめなおしている。  あのなあ……。 「これはこれは、女神様。よくぞ弘美を女の子にしてくださいました。どうぞどう ぞ、まあ一献どうぞ」  席を譲りながら酒を薦める父。 「うむ」  威厳をもってその席に座りながら酌を受けるヴィーナス。 「当然の事をしたまでです。手違いで生まれてしまった者を元の姿に戻すのは女神 の責任なのです」 「それはそれは、さぞやご苦労なさったのでしょう。ささ、どうぞどうぞ」  母までが女神を祭り上げている。 「今の今まで、やり残したことを手掛けていたので遅くなりました」 「やり残したこと?」 「その前にもう一杯」 「あ、すみません。どうぞ」 「突然に女の子の姿になってしまっては、ご近所付き合いや学校生活に支障が出ま すよね?」 「はい、確かにそうです。実はどうしようかと悩んでいたんです。この娘が女の子 になったのはいいんですが、男の子として暮らしていましたから……」 「そう。女神としては、ただ元の姿に戻すだけでなく、女の子として正しく生活で きるようにまで面倒みなくては手落ちというものでしょう」 「そうでしょ、そうでしょう。ささ、どうぞ」  今度は信一郎兄さんが酌をしている。 「それで具体的に何をなさっておられたのですか?」 「彼女に関わるすべての人間の記憶を、彼女が女の子というものにすり替えたので す」 「ということはつまり……。何の支障もなく、この娘が女の子として、ご近所付き 合いや学校生活できるということですね?」 「その通りです」 「まあ、それはそれは、どうもお疲れさまです。どうぞ、どんどんお飲みくださ い」
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2019年10月13日 (日)

銀河戦記/機動戦艦ミネルバ 第五章 ターラント基地攻略戦 IV

 機動戦艦ミネルバ/第五章 ターラント基地攻略戦
                 IV 「リスキー開発区のモビルスーツ研究所及び生産工場の破壊とモビルスーツの奪取が 我々に与えられた任務です」 「リスキー開発区の攻略ですか」 「それはまた難儀な指令ですね」 「モビルスーツ同士の激突になりますよ」 「どれほどのモビルスーツが出てくるか判りません」  各艦長はそれぞれの意見を述べた。 「その心配はないでしょう。どんなに機体があろうとも、動かすにはパイロットが必要 ですが、戦闘経験のほとんどないシロートだそうです」 「かも知れませんね。せいぜい動かせるだけのレベルでしかないでしょう。戦闘レベル は実戦で経験するしかありませんから」 「モビルスーツの奪取の任務は、ナイジェル中尉とサブリナ中尉にやってもらいます」  頷くナイジェルとサブリナ。 「今回の任務上、研究所への攻撃は極力避け、出てきたモビルスーツと戦闘機を撃ち落 し、岩壁の砲台を叩いて無防備にした後に、殴り込みをかけます」 「まもなくリスキー開発区です」  オペレーターが報告する。  フランソワは一呼吸おいてから、静香に下令した。 「全艦、戦闘配備!」  各艦長達は、それぞれの艦に急行すべく乗り込んできた艀に向かった。  来た時にも感じたが、ミネルバの艦内装備と施設には圧倒されるばかりであった。 「こんな機動戦艦を操艦してみたいものだな」  全員一致の思いだったに違いない。  リスキー開発区は砂漠にそそり立つ巨大な岩盤の中腹に建設されていた。かつては良 質のレアメタルが採掘されていたが、ほぼ掘り尽くされて廃棄された。  その廃坑後にモビルスーツ研究・生産工場として再開発されたのである。 「戦闘配備完了しました」 「よろしい。このまま前進して敵の出てくるのを待つ」  完了したと言っても、今回の作戦ではミネルバの艤装が活躍する場はほとんどないだ ろう。原子レーザー砲も速射砲もお役御免のようである。  せいぜい敵が身近に迫った時のためのCIWS(近接防御武器システム)くらいであ る。 「敵のモビルスーツ隊が出てきました」  高速移動用のジェット・エアカーに乗ってモビルスーツが向かってくる。 「こちらもモビルスーツを出して」 「モビルスーツを出撃させます」  フランソワは手元にある端末を操作して、サブリナ中尉とナイジェル中尉を呼び出し た。 「その新型は性能諸元がまったくの未知数です。十分気をつけて戦ってください」 「判りました。十分気をつけます」 「それでは艦長、行って参ります」  勇躍大空へ飛び出してゆく新型モビルスーツ。  超伝導磁器浮上システムを採用した完全飛翔型ゆえに、エアカーを使用することなく 縦横無尽に飛び回る。  完全飛翔型とはいっても、磁気浮上システム自体は浮き上がるしかできないので、ジ ェットエンジンの飛行装置が取り付けられている。それでもエアカーに乗らなければな らない旧式よりははるかに機動性は高い。 「この分では五分ほどで決着が着くでしょう」  副長のベンソン中尉が進言した。 「そうね」  ベンソン中尉の言う通りにほどなく決着がついた。 「モビルスーツの回収部隊を突入させてください」  フランソワが説明した通りに、敵には熟練したパイロットがいなかった。  そのほとんどが、機体を動かせるだけのレベルだけしかない。研究所という環境を考 えれば当然のことなのだろうが、ミネルバが目標にしているという情報が入っていれば、 それなりの対応ができただろう。  情報戦を仕切るレイチェル・ウィンザー大佐の力量というところだろう。  研究所には研究員や警備兵が、まだ立て篭もっているはずである。  モビルスーツの回収の援護なら、旧式機体でも十分であろう。 「サブリナ中尉とナイジェル中尉は戻ってきて、上空の警戒にあたってください」 「了解。戻ります」  いつどこから来襲があるかも知れないから、それに備えていなければならない。  研究所を完全制圧するには、まだ少し時間がかかる。  サブリナを呼び戻して、警戒防衛に当たらせるのは当然であろう。  ミネルバの上甲板に着艦して上空警戒に入るサブリナ。 「これより上空警戒に入ります」  新型が上空警戒に入ると同時に、回収部隊が研究所に突入してゆく。  警備兵とて黙ってモビルスーツが奪取されるのを指を加えて見ているわけがない。  激しい銃撃戦がはじまる。  研究員も銃を取って参加する。  研究所内にはまだ数多くのモビルスーツがあり、研究員が乗り込んで侵入者を迎撃し ようとする。  しかし所詮はただの研究員。それらを蹴散らし、完成したばかりのモビルスーツを回 収していく。  輸送トラックに積んで運び出したり、パイロットが乗り込んで自ら操縦して移動させ てゆく。  所内にずらりと並んだモビルスーツ。各艦から選りすぐりのパイロット達には、一目 で旧式と新型の区別がつく。旧式には目もくれずに、より新しいタイプの機体を選んで 乗り込んでいく。  もっとも新型と言っても、旧式に比べればということで、サブリナ達が乗っている新 型とは性能がまるで違う。  やがて研究所は制圧され、モビルスーツの搬送も完了した。  搬送しきれないモビルスーツを残しておくわけにはいかないので、研究所・生産工場 もろとも爆破するに限る。  要所要所に爆弾がセットされてゆく。 「よおし、作戦終了。撤退するぞ」  研究所の搬送口から次々と撤退してくる回収部隊。  ほどなくして、仕掛けた爆弾が炸裂する。轟音とともに研究所のある岩壁もろとも崩 れ去った。 「回収、終了!」 「基地へ連絡。任務完了、次なる指令を待つ」  通信士が暗号文に直して、メビウス部隊の基地へ向けて打電する。  ほどなくして返信が戻ってくる。 『本部了解。次なる作戦は考慮中にて、それまで自由行動を認める』 「自由行動を認めるだそうですよ」  嬉しそうに副官のイルミナ少尉が言った。  自由行動イコール休暇とでも考えたのだろう。 「良い機会です。搾取したモビルスーツを利用して、戦闘訓練を行いましょう。サブリ ナ中尉を呼んでください」  それを聞いて怪訝そうな表情を見せるイルミナだった。 「何か不服でも?」  すかさずフランソワが尋ねる。 「いえ、訓練は大切ですよね」 「そう、一人でも多くの正規パイロットを育てることが、私達の任務なのです」
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2019年10月12日 (土)

銀河戦記/鳴動編 第二部 第四章 皇位継承の証 Ⅷ

第四章 皇位継承の証
                  Ⅷ  アレックスが第一皇子として叙されて以来、宮殿にて謁見を申し出る貴族達が後 を立たなかった。委任統治領を任せられた貴族達の統治領の安寧を諮ってのご機嫌 伺いである。金銀財宝の貢物を持参しての来訪も少なくなかった。  謁見が増えることによって、政治を司る御前会議の時間が割愛されるので、時と して国政に支障が出ることもあるのだが、持参する貢物が皇家の財産として扱われ るので、無碍にも断るわけにいかなかったのである。  アレックスは、賄賂ともいうべき貢物が、当然のごとく行われていることに、疑 問を抱いていた。  しかし、宮廷における新参者であるアレックスには、口を挟むべきものではない と判断した。すでに既得権となっているものを覆すことは、皇族・貴族達の多大な る反感を抱かせることになる。  郷に入れば郷に従えである。  銀河帝国における確固たる基盤を築き上げるまでは、当面の間は目を瞑っている よりないだろう。 「ところで、皇子よ」  謁見の間において、エリザベスが話題を振ってきた。 「はい」 「私は、皇帝の執務代行として摂政を務めているのですが、今後は皇子にもその執 務の一部を任せようと思っています。取りあえずは軍部の統制官としての執務を担 って貰いたいのですが、いかがなものでしょうか」 「軍部統制官ですか?」  宇宙艦隊司令長官(内閣)、統合作戦参謀本部長(行政)、軍令部評議会議長 (司法)。  以上が、軍部における三官職と呼ばれる役職である。実働部隊を指揮・運用した り、各艦隊の運行状態を把握し作戦を協議したり、人事を発動し功績を評価して昇 進させ軍法会議にも諮ったりする。それぞれ重要な役職であるが、横の連絡を取り 全体のバランスを調整するのが、軍部統制官という役回りで、軍部予算の配分を決 定する権限も有していた。現在そのポストは空席となっている。  なお、司令長官は現在空位のままで、次官が代行して執務を行っている。  アレックスを重要な官職につけようとするのには、後々の宇宙艦隊司令長官に就 任させるための、軍部への足固めを図るというエリザベスの思惑があるようである。 「大臣達よ、依存はありませんか?」  エリザベスが、大臣達に確認を求めた。  保守的に凝り固まった大臣達である。  即答は返ってこなかった。  互いに小声で相談し合いはじめた。  その相談の内容としては、第一皇子という地位や共和国同盟の英雄と讃えられる アレックスの将来性などに言及しているようであった。  しばらく、そのやり取りに聞き耳をたてていたエリザベスだが、 「依存はありませんか?」  再確認を求めることによって、やっとその重い口を開いた。 「依存はありません」 「将軍達はどうですか?」  今度は将軍達に確認を求めるエリザベス。 「依存はありません」  元々アレックスに対して好意的だった将軍達が反対することはなかった。  これによって、アレックスは軍部統制官として、軍部の中に確固たる地位を与え られたのである。
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2019年10月11日 (金)

闘病記・序文

特定疾患(難病)と診断されるまでに、さまざまな病気を患ったり、いろいろな診 療や治療が繰り返されました。  わたしも全身性エリテマトーデスという膠原病として正式に確定されるまでに、 蕁麻疹からはじまって、腸閉塞や筋無力症、肺炎・胸膜炎と次々と発症してきまし た。  それぞれに前兆症状があって、後から考えるとなるほどそうだったのかと思わせ ることもあります。  治療というものは、病名が特定されて初めて、正しい治療を行うことができます。  病名が確定するまでに、十年以上もの長い間、入退院を繰り返しました。  難病に苦しむ方の一助として、自分が経験した難病の症状や治療経験を語りたい と思います。
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